医学医療ニュース4 ホロス
スイス、フランスの医療廃棄物処理 2 心の病、早期治療 連携進む医療現場 3 考えたい「患者中心」の意味
4医療費が足りない/4 医師支える事務員 5 キネステティク 6小児医療、崩壊の危機に直面
7 お産事故を救う 8「冬だから眠い」は「うつ病」の兆候
「冬だから眠い」は「うつ病」の兆候   アメーバニュース 2月16日
 冬になると朝起きるのが辛い、日中やたら眠いなどと感じることはないだろうか。朝起きるのが辛いのは寒さに勝てないから、日中の眠さは暖房の効きすぎた室内にいるから…要因としてはこれらも考えられるが、これらはある「病気」の兆候でもあるのだ。

 その病気とは「冬季性うつ病」。眠気の他、過食気味になる、気分の落ち込みなどの症状が見られるようになるそうだ。この病気は春になると回復してしまうため、本人の自覚がないことが多いそうだ。
 原因は日照時間の減少と言われており、日照時間が短くなる北欧や豪雪地帯で多く見られるとのこと。欧米では女性、日本では男性に多いそうだ。

 では冬ウツを予防するにはどうすればよいのだろうか。それは「セロトニンを増やすこと」。実はウツ病の原因は、セロトニン不足と指摘されているのだ。

 脳内の神経物質の一つであるセロトニンを増やすには、「早寝早起き」と「食事に気をつけること」が重要になる。セロトニンは日光に当たることで増やせる。日照時間が短くなる冬は、早起きをしたり、天気のいい日は散歩をするなど、積極的に日に当たるようにするとよい。

 またセロトニンは食物の中に含まれる必須アミノ酸の一種、トリプトファンから作られている。その吸収にはビタミンB6が必要なので、バナナやレバー、青魚などのビタミンB6が豊富な食品を多く摂るように心がけることも予防に。
 健康的な生活を送ることが大切なようだ。ただし日常生活に支障をきたすほどの症状を感じている方は、一度病院で相談をしてみては。
7 お産事故を救う
裁判より日々の生活  <http://www.yomiuri.co.jp/photo/20090206-094392-1-N.jpg>
産婦人科の窓口では産科医療補償制度への加入を示すマークが掲示され始めた(茨城県内の産婦人科病院で) 東京都内の障害者施設に近い喫茶店で、Aさん(33)は長女(6)の口元にスプーンを運んだ。温かいミルクでペースト状にしたホットケーキを流し込むと、ごくんと飲み込んだ。

 「ごっくん上手だもんね」 Aさんがほおを両手で挟みキスすると、うれしそうに口元をゆるめる。長女は身体障害者1級に認定された重度の脳性マヒ児。原因は、はっきりしない。

 妊娠32〜33週にかけてのある日、おなかに痛みを感じ病院に行った。切迫早産の恐れがあると言われ入院。4日後、「赤ちゃんの心音が落ちている」と、設備の整った大病院に転送された。転送先では、4時間以上待たされ、ようやくやってきた医師は診察するなり顔色を変え、「心音が止まっている。帝王切開の必要があります」と告げた。1600グラムの長女は仮死状態で生まれ、重い障害が残った。

 Aさんは、病院間の引き継ぎに不備があったのではと疑ったが、詳しい説明は求めなかった。「生きるか死ぬかの状態にある子どもと少しでも長く一緒にいることの方が大切だったし、これからのことで頭がいっぱいだった」。経済的にも余裕がなく、裁判を起こそうと考えたこともない。

 産科医療補償制度は、未熟児が原因とみられるケースは除外されるため、妊娠33週以降、出生体重2000グラム以上が条件だ。ただし、Aさんのように、28週以上33週未満の場合には、個別審査で補償の道が開かれている。出産当時に仮に制度があれば、個別審査で補償対象となった可能性がある。

 Aさんは「同じ脳性マヒの子を持つお母さんで、救済の条件に当てはまる人が知っているだけで5、6人はいる。多くが子どもを育てて生活していくだけで精いっぱいで、裁判どころではない」と話す。 産婦人科の訴訟は他の診療科より多く、産科医不足を招いたという指摘もある。補償制度には、訴訟を減らし、産科医離れを食い止める狙いもある。

 しかし、実際、赤ちゃんが脳性マヒになったケースのうち、訴訟がどれくらいあるのか、正確なデータはない。医療事故の被害者団体は「現実には、裁判に踏み切れない人のほうが多いのではないか」と指摘する。 産婦人科の訴訟 最高裁によると、2007年に決着した産婦人科の医療事故などを巡る訴訟件数は108件。このデータをもとに医師1000人当たりの件数を算出したところ、産婦人科は11.3件で、外科の2.3倍、内科の4.3倍に当たる。(2009年2月6日 読売新聞)

今年1月に始まった産科医療補償制度は、補償金の支給だけでなく、原因を分析し防止策につなげることが、もうひとつの柱だ。産婦人科の専門医や有識者でつくる第三者機関が分析結果を報告書にまとめ、患者側、病院側の双方に送る。別の専門家グループが再発防止策の検討もする。

 産科医療補償制度 分娩にかかわる事故で脳性マヒになった子どもに、医師の過失の有無を問わず、介護準備の一時金600万円と、介護費用として20歳まで毎年120万円ずつの計3000万円が支給される。先天的要因がなく、原則妊娠33週以降で出生体重2000グラム以上、身体障害者1、2級が条件。日本医療機能評価機構が設置した専門委が審査し、支給を決める。
6ニュース追跡:小児医療、崩壊の危機に直面 軽症患者の殺到に医師疲弊 /埼玉
                                       毎日新聞 2008年4月23日 地方版
 
◇立ち上がる母親たち
 急患のための時間外(夜間・休日)小児救急に、熱やせき程度の軽い症状の子供たちが殺到し、全国で問題になっている。勤務医が子供の患者の対応に疲弊して当直のない開業医に転向し、医師不足に陥った病院が、救急医療から撤退する悪循環だ。医師から見れば「大したことない」症状も、親には「子の一大事」。この両者のギャップを埋めることが大きな課題になっている。【稲田佳代】

 3月、土曜夜の川口市立医療センター(川口市)の待合室。子供を抱いた親が次々と受付を訪れ、午後7時台は8人、同8時台には17人に上った。小児科部長の下平雅之医師は「インフルエンザが流行していない分、少ない方」と明かした。朝まで患者は途切れず、この夜の当直医は午後6時〜翌朝9時までに1人で47人を診察した。そして翌日もそのまま通常勤務に入った。

 県内の開業医は04〜06年で237人増加した。過酷な労働環境から勤務医が開業医に転向するケースが増えている。一方で、勤務医は日本小児科学会のモデル計画案を基にした試算で173人不足している。07年2〜3月、朝霞台中央総合病院など9病院が救急医療から撤退するなど、必要な救急体制が取れない地域も珍しくない。
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 小児科医を忙しくさせる大きな要因が「病院のコンビニ化」の進展だ。
 県の医療協議会によると、時間外の小児救急患者の96%は軽症だ。親が病院をコンビニエンスストアのように考え、「昼間より夜の方がすいている」「テレビを見ていたら遅くなった」などと、時間外に訪れる。

 少子化対策として県内全市町村が競って導入している小児医療費の無料化も、安易な受診を助長する面がある。医師らには「タダだと思ってちょっとしたことで来る人が増えている」と不評だ。
 ただし、川口市立医療センターの下平医師は「専門知識がない親が軽症か重症かを判断することはできない」ともいう。越谷市の2歳男児の母親(32)は「親なら、できるなら専門の小児科医に診てもらいたいと思うもの」と吐露する。

 核家族化で、子供の病気について年配者からアドバイスを受ける機会も減った。県の小児救急電話相談「#8000」の女性相談員(64)は「親は孤独。相談する相手がいないみたい」と心配する。
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 志木市立市民病院で珍しい試みが始まった。志木市とその近隣4市の医師でつくる朝霞地区医師会が4月から、小児科などの開業医40人を交代で派遣、軽症救急患者の診察を受け持っている。県も当直1回当たり1万円の報酬分を、医師会に支出している。

 川口市立医療センターでも昨年5月から、地域の開業医数人が当直に加わり始めた。救急病院としての役割を果たせなくなれば、軽症しか診られない診療所には患者の紹介先がなくなってしまう。当直を3カ月に1度する開業医の平井克明医師は「センターに重症の子を受け入れてもらっているから」と話す。

 親たちの手による親への働き掛けも始まっている。 兵庫県柏原市の母親たちは昨年4月、医師不足から診療中止の危機に陥った地元の県立病院小児科を救おうと、「小児科を守る会」を作った。母親たちに安易な受診を控えるよう呼びかけ、受診の目安を記したハンドブックを作成している。

 東京都でもこの時期、2児の母で自営業の阿真京子さん(33)が、「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達の会」を発足させ、小児医療の基礎を学ぶ勉強会を開いている。親子連れで満杯となった救急病院の待合室と、疲れ切った医師を見たのがきっかけだ。阿真さんは「子を思う母親の心配を減らすことが、結果的に医師の負担減になる」と話す。

 この会のメンバーで、川口市に住む3児の母、平野美江さん(33)は県内でも勉強会を開こうと準備中だ。平野さんは「国に何かを求める活動はよくあるけれど、母親自身がまず動こうとする発想に驚き、賛同した。世の父親たちも巻き込み、積極的に医師や他の親に近づいていく活動をしたい」と意欲的だ。 小児救急の崩壊は、医師や医療機関だけの努力では食い止められない。子供の健やかな成長を願うすべての親たちの協力と理解が、必要とされている。

 ◇医師と親つなぐ活動必要
 「まちの病院がなくなる!?地域医療の崩壊と再生」などの著書がある城西大の伊関友伸准教授(経営学)の話 朝霞医師会が始めた「開業医が勤務医を助ける」取り組みは評価するが、殺到する軽症患者を減らすことにはならない。医師の大変さを親が理解するためには、医師と親をつなぐ活動が必要だ。親は、子供の状態よりも自分が不安なので救急に駆け込みがち。子供をよく観察し、症状を見極める知恵をつけることが求められる。
5 医療のパラダイムを変革させるキネステティク  週刊医学界新聞 第2778号 2008年4月17日
             徳永恵子(宮城大学教授)  只浦寛子(宮城大学講師)

 宮城大学では2000年からキネステティク概念を応用した看護に関する研究・啓発活動を始め,07年日本キネステティク研究会を設立しました。 キネステティク(Kinaesthetics)とは,動きと動きから生じる認識についての学問で,人間が本来備えている身体の自然な動き,動きの感覚を人との関わり(コミュニケーション手段)に応用することを主なテーマとしています。

 キネステティクの動きの支援はモビリゼーション(Mobilization)であり,そこには動かすこと,動かして生きる力をも活性化させるという意味が含まれています。日本の看護における動きの支援技術は数十年来メカニカルな方法を追求してきました。しかし,人間は身体と心を持つ社会的な生き物であり,「人は地球という重力磁場において動きを生存の原則として生きており,運動は絶え間ない遺伝子への働きかけである」と跡見順子氏も述べています。動きの支援目的は「人が目的点まで動く」という物理的な移動のみではなく,また褥瘡予防や気分転換だけであってもなりません。看護はホリスティックな支援をめざす学問ですが,この動きの支援はホリスティックな支援,つまり「看護」でなくてはならないのです。

 キネステティクでは,患者は動かされるのではなく動く主体であり,看護師・介護者は,動きを“支援する”側として患者と一緒に動くことを基本とします。そのため,患者はまるで自分で動いているかのように感じ,世話になる心的負担から解放され,不安や恐怖,苦痛を感じません。自尊心を取り戻し,自己効力感を育み,生きる意欲を高めることができるのです。

 現在,高齢化による「寝たきり高齢者」の増加をはじめ,褥瘡発生リスク保有者は確実に増加しています。この状況を受けて褥瘡を社会的問題として捉える必要性が認識され,診療報酬改定にも影響を与えてきています。加えて近年,安静の功罪が改めて明らかにされてきており,キネステティク概念の看護への応用に対する関心は高まっています。

 キネステティク概念が皆様に真に理解され,実践の場で具現されるならば,ケアの対象となる方々の活動性,セルフケア,そして生命力に焦点をあてたホリスティックなケアが提供される医療へのパラダイムシフトを実現できるでしょう。 “生きることが動くことなら,動きを支援することは命を支えることである。”

◆第1回日本キネステティク研究会は2008年7月12日(土),宮城大学大和キャンパスにて開催される。
 http://www.myu.ac.jp/~jka/index.html

4 医療クライシス:医療費が足りない/4 医師支える事務員 毎日新聞 2008年4月18日東京朝刊
 ◇患者にもメリット
今年2月、岩手県立千厩(せんまや)病院(一関市)泌尿器科の診察室。阿部俊和副院長(現国保金ケ崎診療所副所長)は診察しながら、「薬は前回と同じ」「次の予約は4週間後」と、横に座る医療クラーク(事務員)の女性に、処方せんや診察予約の指示を伝えた。医療クラークは手際よくパソコンに入力していく。 「医療クラークが事務作業を処理してくれるお陰で、患者に向き合い、集中できる時間が増えた」と、阿部医師は医療クラークの良さを説く。

 医療クラークは医師の指示で、カルテの記載や処方せん発行、保険会社への診断書作成など主に事務作業を行う。海外では普及しているが、日本の病院にはほとんどいない。 情報開示や医療事故対策が進むにつれ、医師の事務作業が増えている。阿部医師は「ここ10〜20年で書類の作成量が3倍くらいに増えた」と話す。負担の重さは、勤務医の病院離れにもつながる。

 岩手県は医師確保対策の一環として昨秋、県立3病院に試験的に医療クラークを導入、千厩病院にも2人を配置した。今年度からは県立の21病院に、医師数や病床数に応じて10〜1人を導入した。 国も今年度から、医療クラークの人件費を診療報酬の加算で補う制度を始めたが、伊藤達朗千厩病院長は「診察時間を従来より多くでき、患者にとってもメリットが大きい。医師1人当たり医療クラーク1人を目指すべきだ」と訴える。

   米ピッツバーグ大に留学中の津久井宏行医師(37)は、上司の外科医や2人のPA(Physician Assistant=医師助手)とともに、4人で年間450〜500例もの心臓手術(開心術)をしている。日本ではこれほど多くの手術をこなす病院は少ないが、津久井医師は「精神的にも体力的にも非常に余裕がある」と話す。なぜ余裕があるのか。

 鍵を握るのは、日本にはないPA制度だ。PAは米国の国家資格で、医師の監督下で診察や治療、検査の指示、処方せん発行などができる。津久井医師の同僚のPAは、手術の第1助手、検査データ分析などの術後管理、病棟回診までこなす。全米では7万人近いPAが働いている。

 米国の病院では、多様な職種が医師を支える。通常の看護師より専門的な資格で、処方や簡単な処置を行える「Nurse Practitioner=公認看護師」もいる。呼吸管理、点滴などを行うための「静脈ライン」確保、院内の患者搬送など、それぞれに専門職がいる。医療クラークに相当する医療秘書もおり、ほとんどすべての医師に秘書がつくという。

 津久井医師は月曜から金曜まで毎日手術をするが、術後管理や書類作成などはPAらが担ってくれるため、早い日は午後4時に帰宅することもある。長期休暇も年に4週間くらいは取れるという。 津久井医師は「病院では、ほとんど手術室にいる。米国の心臓外科医は、まさに手術をするためにいる」と話す。そのうえで現在の状況をこう表現した。 「労働時間は日本の半分か3分の2で、年収は最低でも2〜3倍だ」=つづく

スイス、フランスの医療廃棄物処理(07/08/31)日本経済新聞

田中勝(たなか・まさる)
1941年岡山県生まれ。京大工卒、米ノースウェスタン大大学院博士課程修了。岡山大大学院教授。文科省21世紀COEプログラム「循環型社会への戦略的廃棄物マネジメント」拠点リーダー

 日本、ドイツ、イタリアと同様にスイスの医療廃棄物処理も焼却が中心です。ところが世界の国々で、焼却しないで埋め立て処分に依存している国々があります。アメリカ、オーストラリア、フランス等です。今回は焼却中心のスイスと埋め立て中心のフランスを比較してみましょう。また医療機関から排出される放射性廃棄物は、短半減期の放射線廃棄物はあるレベルまで下がれば、普通の廃棄物として扱っています。

■自治体の焼却炉に依存するスイス・ジュネーブ大学附属病院
 従業員8,600人、病床数2,200と比較的大きなジュネーブ大学附属病院を訪れました。スイスでは、国とは別に26の州が独自に法規制をしており、2002年に大気汚染に関する法制度が強化され、それまで院内の焼却施設を使用していましたが、それに対応する為の修繕費が莫大なためジュネーブ市への委託焼却処理に切り替えました。スイスでは一般廃棄物の処理にも原則焼却処理で対応しており、日本やシンガポール等と同じ対応です。

 院内での廃棄物の分類は、危険度に応じて7種類に分類され、黄色、白、オレンジ色の缶、プラスチックの袋、プラ容器に分別保管され、集荷された後最後は焼却施設にて焼却処理されています。自治体が医療廃棄物を受け入れるにあたって、従業員への研修を行い、感染性廃棄物と一般廃棄物とは投入口は別になっており、また自動投入となっており、作業員の手に触れることが無いようになっています。

 廃棄物処理のかかる費用は市の施設の処理費用は、一般ごみは250 スイスフラン/t、注射針などは400 スイスフラン/tと廃棄物の特性によって処理費に幅がありました。

■埋め立て処分をするフランス・リヨン州立病院
 感染症専門の医者や火傷専門医が多数いる州立病院(Hop Croix-Rousse)と1930年に設立した州立の病院(Hop Ed Herriot)を訪れました。

 フランスの廃棄物処理は、1975年の法律に基づき、廃棄物の定義、責任者、容器、処理・処分について規定されています。フランスの廃棄物処理は、基本的には埋め立てであり、特に注射針などを含む医療廃棄物に関しては、市民の関心が高く焼却処理がなかなか受け入れられません。感染性廃棄物が焼却処理をされているのはフランス全体でもごくわずかです。 

医療廃棄物は一般廃棄物、危険廃棄物、解剖廃棄物などに分類されそれに応じて処理されています。注射針は黄色容器に、また都市ごみ以外は全て医療廃棄物としてプラスチックバックへ廃棄されます。特に危険な廃棄物は焼却処理ですが、そうでなければ蒸気滅菌などで処理された後、埋め立てがほとんどです。滅菌した後に埋立処分する方式は、経済的に優れ、処理施設までの距離が短く、最終処分までの時間を短縮され、医療廃棄物が発生してすぐに処理できるためトータルリスクが削減できるという説明でした。

 放射性廃棄物に関しては、長半減期の放射性廃棄物に関しては、国営のANDRAが引き取って処理をし、短半減期の放射性廃棄物に関しては、スイス・ジュネーブ大学附属病院と同様に放射能レベルがある一定値以下になるまで保管した後に、通常の廃棄物として扱うとのことです。埋立処分場の入り口にも放射能レベルを測定する装置があり、病院からの排出時、処分場への搬入時と2度チェックを行っているわけです。

■ヨーロッパ内でも違う対応
 これまでEUの中からドイツ、イタリア、スイス、フランスの現状を見てきました。国、地域によって対応がずいぶん異なることが分かります。

(1)感染性廃棄物の定義・範囲に関しては、イタリアは日本に近く、血液などが少しでも付着すると感染性廃棄物としていました。ドイツでは、感染症の患者からの血液が付着したもののみを感染性廃棄物の対象としています。
(2)感染性廃棄物への対応はイタリア、ドイツ、スイスに共通していたことは感染性廃棄物を高温処理、すなわち焼却施設で処理することが一般的でありました。ところがフランスでは、感染性廃棄物はほとんどが焼却処理されず、医療機関の現場で焼却以外で滅菌処理された後埋立処分されていました。これは焼却が大気汚染の問題などから住民に受け入れられないためです。
(3)処理施設は医療機関のではなく、イタリア、ドイツ、スイスも自治体などの焼却施設で委託処理されていました。同じEU内の国であっても、国によって医療廃棄物への対応は様々であることが分かります。EUやWHOでは統一して対応するようガイドラインを出すなど努力もされています。[8月31日/Ecolomy]

2 心の病、早期治療 連携進む医療現場 団体発足、ミスマッチ解消  産経新聞 (2007/07/05 15:29)

 内科医などの一般医と精神科医が連携する動きが出てきた。自殺との関連も指摘される鬱病(うつびょう)などの「心の病」だが、初期は不眠や頭痛など身体的な症状が目立つことが多く、一般医を転々とする人も少なくないからだ。初期診療(プライマリーケア)段階で病気の兆候を見つけて早期治療につなげようと、自治体と医師会などがさまざまな取り組みを始めている。(海老沢類)

まず内科から
 東京都内のメーカーに勤務する営業職の女性(32)は頭痛やめまいを覚えるようになってから約1年、内科や耳鼻科、脳神経外科などを転々とする日々を過ごした。原因は分からず症状も改善しない。そのうち仕事の作業効率や集中力が目に見えて落ちたため、精神科の神田東クリニック(東京)を訪れた。診断結果は鬱病。聞けば、「上司との人間関係でストレスを抱き、会議中じっと座っていられないこともあった」という。

 「こうしたケースは珍しくはない。鬱症状があっても直接精神科を訪れる人は少ないのが実情」と島悟院長は話す。

 心療内科医の三木治氏が、心療内科を受診して鬱病と診断された患者330例を調べたところ、最初に訪れた診療科は内科が64.7%で最も多く、婦人科9.5%、脳外科8.4%が続いた。精神科、心療内科はそれぞれ5.6%、3.8%にとどまった。

 鬱病は気分の落ち込みや意欲の低下といった精神的な症状に加え、不眠や息切れなどの身体症状を伴う。「鬱病初期は精神症状より身体症状が前面に出る場合が多いうえに、精神科の受診に抵抗がある患者も少なくない」(都内の精神科医)ことが、内科受診率の高さにつながるようだ。

専用の紹介状
 静岡県が7月から富士市内で始めた「鬱病の早期紹介システム」は、こうした“ミスマッチ”を解消し、早期治療につなげる取り組みだ。かかりつけ医は、鬱病の疑いが強い患者がいた場合、相談の上で精神科医に速やかに連絡し、優先的に予約を入れられる。

 ユニークなのは専用の紹介状だ。不眠や食欲低下などのチェック項目を列記しており、一般医はこれを目安にして患者に「眠れていますか?」などと質問する。不眠が継続しているようなら鬱病の可能性を疑う。

 富士市医師会は「(一般医の)鬱病に対する診断水準が上がるうえに、患者を専門医に紹介するルートができた」とシステムを歓迎する。

自殺を予防する
 大阪で昨年発足した「一般医−精神科医ネットワーク(通称G−Pネット)」には府内の精神科病院や一般病院、産業医らが参加。研究会などを通して双方がスムーズに患者を紹介し合えるシステム作りを目指している。

 福岡市でも九州大学病院と市医師会などが連携し、一般医対象の鬱病研修を定期的に開いている。

 鬱病との関連が指摘される自殺者の数は昨年、9年連続で3万人を超えた。一連の取り組みは自殺予防策としても注目されている。『自殺予防』(岩波新書)などの著書がある防衛医大防衛医学研究センターの高橋祥友(よしとも)教授(精神医学)は、「『専門外』という認識もあって、これまで一般医と精神科医はあまりうまく連携が取れていなかった。初診で精神科を訪れる患者が少ない現状のもとでは、精神科以外の医師が早期対応の中心的役割を果たすことが重要だ」と指摘している。

睡眠薬服用の36%が鬱該当者
 不眠は鬱の典型的な身体症状の一つとされる。製薬会社グラクソ・スミスクラインが平成18年、20〜50代の睡眠薬服用者308人を調査したところ、鬱症状に該当した人の割合は36.7%に上った。

 一方で、鬱症状該当者のうち、睡眠薬の服用を始めたときに「自分のことを鬱かもしれないと感じた」人は66.6%に上ったものの、そのうち44.9%は、不眠以外の精神面の不調については医師と相談したことがないと回答していた。

 調査を監修した東邦大学医学部心身医学講座の坪井康次教授は「医師と患者の十分なコミュニケーションが、漫然とした睡眠薬の服用を防ぎ、鬱病の早期発見・早期治療につながる」とコメントしている。

3 考えたい「患者中心」の意味  本田 麻由美記者  読売新聞
 「患者中心の医療」というと美しく聞こえるが、その本来の意味を、患者も医療者もわかっているんだろうか、という疑問を感じる――。

 「がん対策推進基本計画づくりの議論は、患者のために」(4月20日付本欄)に対して、このような趣旨のお便りを幾つかいただいた。

 武蔵野大看護学部教授の種村健二朗さん(66)は、「一人一人の患者の意思を尊重した医療が『患者中心の医療』だと思う」とし、「その実現には患者本人への病状、予後も含めた告知が不可欠なのに、そうした議論がない」と指摘する。

 例えば、「延命を期待して積極的抗がん剤治療を続けたい」のか、「痛み軽減の治療だけでいい」のかを、患者自らが決めるためには、本人が自分の病状を正確に認識できるように、十分な説明が行われていることが必要だ。しかし、病院では現在も、「つらいことを知らせるのはかわいそう」「だから患者に代わって良い治療法を決めてあげる」といった“優しさ”から、家族と医師が判断していることが少なくないという。

 こうした状況に対し、種村さんは、がん専門病院の治療医や緩和ケア病棟の担当医を35年間務めてきた経験から、「本人が事実を知って苦しむことは、その苦しみからの解放への過程の始まり。必要なのは、その過程に沿った真摯(しんし)なケアであり、人間を見くびった“優しさ”ではない」と強調。「患者を蚊帳の外にして家族と医師が話し合う現状のまま、『患者中心主義』が推し進められようとしているのは不気味だ」と言う。

 確かに、がん告知が当たり前になりつつある一方で、再発がん等の場合、病気の進行度合いまでは詳しく知らされないことが多い。「患者中心の医療」を実現するには、患者側にも病状や予後の告知を受けて生き方を選択する覚悟が必要なのかもしれない。ただ、私にその覚悟があるかどうかは分からない。患者の生きる意欲を奪うような告知では意味がないとも思う。「悪い知らせを伝える技術」を、医師が学ぶ仕組みも必要だ。

 いただいたお便りの中には、このほか、「『患者中心』を、『医師が患者の言いなりになること』と勘違いしている人が多い」「『患者参加型医療』は、治療内容を形式的に患者に確認することではない」などの意見があった。乳がん闘病を通じて、私なりに考えた「患者中心」の意味について、次回も続けて考えてみたい。

ホロス