カラーセラピー」について
                     末永 蒼生 
                     色彩論と心理学の融合をめざした研究
 
 最近では、アートセラピーという、言葉も、以前より幅広い意味をもって使われるようになってきました、つまり.精神医療を始めとする医療現場のリクリエーションやカウンセリング・症状分析やセラピーを目的としたものだけでなく、ごく普通の暮らしの中でも行われるリラックス法として考えられてきています。また、環境音楽やリラクゼーションのためのグッズなどの人気も定着し、身近な健康法としてのセラピーに興味を持つ人も確実に増えているようです。そこで今日は、私共が行っているワークショップの現場からの報告も折りまぜて、「カラーセラピー」についてお'話していきたいと思います。

 夕日の美しさ、秋の紅葉の素晴らしさ、目が見える人なら誰もが色彩の美しさを感じることができます。ところが、大人を対象にしたカラーセラピーを行うときにむつかしいのは、気楽に絵を描く.人が少ないと言うことです。そこで私共がワークショップでよく使う材料は水彩絵の具です。というのは、クレパスで何かの形を描くこと.上手に描かなくてはならないという脅迫観念が拭えないのでしょう。私共がよく行うのは、絵用紙を水に浸しぴしょびしょにしておいて、さらにその上からたっぷりと水彩絵の具を筆に含ませて描くという方法です。この方法だと人為的な筆の動きはほとんど必要ありません。

 水と色が互いに戯れるようにして面白い模様が生まれていきます。その色の動きを見ているうちに、まるで雲の動きや水の流れを見ているようにいっしか瞑想状態に入っていきます。そして使う色彩については私の場合は一切指示を行わず、どの色を選ぷというのも自由です。というのも色の持つ象徴性という面よりも色彩の持つエネルギーそのものの作用を生かしたいと思うからです。

 実際、虹の7色のすべての波長を人間の視覚がキャッチできるということは、そのどの色をも心身が必要するはずだと思えるからです。水と色が人の心に与える力を生かかしたこの方法は「ウォーターカラーセラピー」と呼んでいいかもしれません。水と色の混じり合う瞬間のイメージーが心理的な溶解感を刺激してくれるからです。入間が自らを癒し始める第1歩は、まずイメージの中に潜んでいます。

 そのことを改めて感じたのは、この東海ホりスティック医学帳興会の会長であり、消化器の専門医・恒川洋先生の病院で行われた「がん患者さんの白己治癒力を高めるホリスティック医学講座」の私共が担当した「アートセラピー」の講座の中でです。この時も「ウォーター一カラーセラピー1を行いました。2枚の画用紙を用意して、イメージを色に置き換えて描いてもらうのですが、1枚目は「痛みや不快感の色のイメージ」2枚目は「そのイメージが解消して健やかな気分の色のイメージ」です。ほとんどが日頃絵などを描いたこともない人達ばかりです。
 
  ところが、参加者のほとんどがあまり躊躇するととなく、すぐに筆を動かし始め、2枚目では皆さんが集申して色を楽しんで描いておられ、体まで軽くなったかのように見えました。ワークショップ後には、「手術の後の閉じこもっている生活から何とかしたいと思っていた。何十年振りで筆を持ったが楽しかったのでまた描いてみたい」「絵の具を触ったのは小学校以来、身の回りに明るい色がなかった。これから明るい色に朝鮮したい」などの感想も聞かれ、今後も日常生活の中で色を生かして欲しいと思いました。

また、参加者全体の色彩表現を振り返ってみると注目すべき共通点が表れました。そのほとんどが1枚目にダートーンの色、2枚目にパステルやビビッドトーンの明るい色を使い、特に2枚目は人によって色彩の選び方も多様です。黄色、緑、ピンクなどさまざまな色が躍動しています。このことは何を語っているのでしょうか。

 色彩表現でみるかぎり人の痛みや死の不安は共通しており、生きる喜びは人それぞれとても個性的なのでしょう。このように人間の心や体は色と密接に絡み合っており、色がその心身の状態を教えてくれ、またその状態を癒してくれる自己治癒力を色が引き出してくれるのです。

 色が人の心身を元気にしってくれる場面を、私たちは他にも見てきました。例えば、まだ記憶に新しい阪神大震災。その直後から1年間にわたり、私共の.主宰する「色彩学校」(大阪佼)の受講生を中心に50名くらいのチームを作り、避難所所に生活する子どもたちのために、少しでも気分転換をしてもらおうと、クレパスなどの画材を用意して“出張アトリエ"のボランティアを開始しました。
 
 好きな色を使って思い切り落書きするのでもいいし、ぬり絵を塗ってうさ晴らしするのでもいい…。そんな思いからこの活動が始まりました。最初の頃ば赤や黒、黄色など単純な色使いで、ショックや不安を発散していた子どもたちも、生活が落ち着くにつれ使う色数が増え、表現する内容も多岐に渡っていきました。色彩が増えるということは、それだけいろいろな感情表現ができるということ、つまり少しずつリラックスした気分を取り戻したということを表しているのです。

 また最近、私共のスタッフが老人ホームのボランティアでカラーセラピーを行っています。老入ホームの人達は外的刺激が減っていくので、余りしゃべらなくなりコミニケーション能力が低下してしまいます。そこで絵を描き始めると、とにかく喋らなくなった人がまた蝶るなどの変化が生まれます。つまり色を通して、感情が出るようになるのです。

 このように「カラーセラピー」は、子どもから高齢者まで誰でも、どこでもでき、色を通して自分の心や体を元気にする力を貸してくれます。1()月から蛤まる私共の「カラーセラピー講座」でもワークショツプやレクチャ一を通して色を体験して頂きたいと思います。
  
著書に「色彩自由自在」晶文社 
大人のためのぬり絵「色彩楽」日本ボォーグ社
連絡先ハート&カラー 03-5474一7810/FAXX03-5474-2860
〒150東京都渋谷区神富前3-38-3フォルム7110